ビヨンド/木屋 亞万
 

あるいは氷が解けていたので
アルコール度数も4度くらいかもしれない

アルコールの糸が渦を巻く
焼酎が美しく感じられ
呑むのをためらっていると
雪山も冬の湖も4度なのかもしれないと
私の思考は景色へと移り変わっていく
オーロラは何度で出るのだっけ
ダイヤモンドダストはまた何度だったか

嘘はどうだろうか
仏の顔も三度までというが
それでも嘘も四度目にもなると
少しかわいげが出てくるものかもしれない

幼少の頃から嘘つきで有名だった彼が
また嘘を言っているのかもしれないのだが
それでも嘘だと言い切れない感覚が
私の中にあるのも確かだった

4度、
とても美しいもののような気がする
これから少し注意してみていよう

美四度研究の論文を書き上げたらぜひ読ませてほしい
そう伝えると彼は上半身を4度退けて
それから4度だけ小刻みに頷いた

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