著しい退化/吉田ぐんじょう
・
めざめたら
体中が赤の水玉だらけになっていた
なんだか痒くて仕方がない
そのうえ頭皮にまで広がってるらしく
頭をかきむしらないといられない
体中かきむしっていたら
いつしかわたしは皮膚病の犬となり
ひよひよひよひよ
毛をまき散らしながら
自分の尾っぽを追いかけている
けして手に入れられないもの
けれども追わずにはいられないもの
ああ希望とは理想とは
こういうものであったのか
分かった
と叫んだつもりだったけど
喉から漏れたのは悲しげな遠吠え
・
立って冷蔵庫の前へ行く
この頃は冷凍庫の霜ばかり食べている
暑さの為だと思うのだけれど
ラ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)