童話「なないろのつる」/チアーヌ
ゆうなさんは、いつもと同じ道を歩いているはずでした。
だから、いつのまにか、自分が見たことのないところにいるのだと気がついたときには、本当にびっくりしました。
ゆうなさんは困ってしまいました。
もう会社に戻らなければいけない時間なのです。
ゆうなさんは、大きなため息をつきました。
そして、肩にかけていた、重い重いカバンを、そっと地面に下ろしました。
カバンの中には、化粧品のビンや、鏡のついたコンパクトやなんかが、たくさん入っているのです。
ゆうなさんは、もう十年も、化粧品のセールスレディをしているのでした。
ゆうなさんは困り果て、きょろきょろと辺りを見回しました。
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