◆幻想連鎖?/千波 一也
 




にじいろの炎をともし黒髪は少年少女の真夏をあそぶ




少年の肩から旅立つ星たちは少女の空と海とに抱かれる




潮騒とよく似た硝子が割れてゆく、眠りの底を旅立つ朝に




割れてゆく口づけゆえに体温はひとつに溶けよと命令をする




命令に従い過ぎた夕刻は鉄のにおいと味とが満ちる




てのひらに満ちる言葉を何ひとつ残せぬままで菊花を仰ぐ




鮮やかな金魚の尾ひれはてのひらに扇さながら微風をおこす




舞い踊りときには叫び、憤り雨の素顔は鮮やかに咲く




音階のすべてを知ったはずなのに譜面が読めない素顔のとなり




水たちの読めない文字は起きあがる風という名の国を築いて











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