エポケーの歌(1)/生田 稔
 
数年前一切合財の判断を
ストップすることを習った
つまりエポケーさ
ブラック・ホールと
いうものは無いと
ネットはおしえてくれた
ではブラック・ホールと
エポケーを組み合わせて
一切合財を
ブラック・ホールに
投げ込んででみることにした
これはうまい具合で
どんどん投げ込んでゆくと
手持ちは何もなくなった
つまり、元の出発点に
立った
これだ、これからだ
と思うとジーンとした
新しい着眼だと
胸が躍った
もう投げ込むものは
残っていない
自分の、どちらかと言うと
ある人々の言う
美しい自分だけが在る
まず目を上に向け
そして、おもむろに
下に下
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