ノート(贈り物)/
木立 悟
雨が近づき
誰もいない
贈り物を捨てた
霧に立つ
赤と白の脚
ひとつの弦を聴いた
動かない虫
窓ごしの雨
深緑の声
夜は去り
水は残り
遠い波のにおい
朝に増える
贈り物のなかは雨雲
贈り物のなかは海鳥
昼が近づき
誰も来ない
部屋じゅうに羽
霧に立つ
痛む足首
応えあう弦と声
窓の外は緑
窓の内は雨
窓は贈り物
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