錯覚/アオイリョーキ
 
荒野だと思う
忘れられた
木の影をまがると、例外なく砂嵐だ
そこから飛び出してくる無数の手が
後悔や焦燥を
閉じ込めていたのに引っぱり出そうとする
それに気付かないで
なのに逃げようとする
きっと、砂が目に入るからだ
途方も無く
夕暮ればかり
赤い空ばかり見上げている

雨が降り出しても気付かないで
ただ濡れていく
それを
受け止めている
という錯覚
流れる事がやさしい
という錯覚
そんな夢だけ
追っているような気がして

境界線まで来て
荒野を抜け出そうとする
真っ暗なただなかで
光を追ってきたその先に
見えた幻が
すべて忘れて
生きてい
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