幼虫/吉岡孝次
 
切り詰められた言葉しか持たない子供たちは
短い針で生爪をつつき合い
TVで覚えた微笑みをかぶりながら
不信感を募らせている
青空と死を望み
重たい関節をひきずって
ゆがみ合っている
物心ついた時から自分と離れ
他人みたいな身体の中で不確かな共生を営み
黙り込み
死ぬ
友達は悪意の代名詞で
恋人は性欲の丸のままの蕩児
ナイトショーを両親と視終わった後は
勉強部屋で泣き出しているのだ
教室の小さな机は足をかみあわせるにはちょうどいい大きさで
おおいかぶさって貧乏ゆすりをして
先生はオールドミス
校庭は雨が降ると糞尿のようになる
階段の手すりを拭く
晴れた日はポプ
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