学校と女子と男子/吉田ぐんじょう
 
けんちゃんという子だった
幼馴染だったが
クラス二十九人を敵に回す勇気がなくて
たすけられなかった
見ていることしか出来なかった

学校というものは
自由平等の精神を学ぶ場所ではなく
不自由と格差を学ぶ場所なのだと思う


放課後けんちゃんと喋っていたら
ふうふ ふうふと囃されたので
校庭に転がっていた石をつかんでぶん投げた
その石は正確に囃した男子の額を割って

謝らされたのはわたしだ
どうしてなのか今でもわからない
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