学校と女子と男子/吉田ぐんじょう
の代わり零点の子もいなかったけれども
何事もバランスを重んじる先生で
テスト中や授業の小テスト中は
教卓にいつも入れているやじろべえを出して
人差指の上に載せて遊んでいた
・
全校集会の校長先生の話は例外なく退屈である
あんまり同じことばかり言うので
機械ではないかという噂があった
校内ですれ違うときに挨拶をすると
きゅっち と何かが軋む音を立てながら
正確に九十度の礼をする人だった
・
美術の授業中に何を言われても
紙粘土で同じ人形ばかり作っている子がいた
通学かばんにはその人形の
砕けた足や手が詰まっていた
いつもうまくできないのだろう
それはす
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