学校と女子と男子/吉田ぐんじょう
・
机を彫刻刀で切り付けて
切れ目をひとつ作って指で開くと
そこに海が広がっているときがある
授業中やお昼休みの間はつま先から飛び込んで
そこでじっとしていた
息ができないという点では
水中でも教室でも同じだった
彫刻刀をしっかり握りしめて
それだけがわたしの武器だった
・
担任の先生は
○ばっかり付けていると不安になるらしく
答えが合っていても時々×を付けることがあった
そういう回答は
テスト後の答え合わせの時に申告しても
それは言うなればバランスなんだと言って
けして○にしてくれなかった
だからうちののクラスには満点を取れる子が一人もおらず
その代
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