夏/榊 慧
 
ひどく繊細なうすばかげろうがフェラーリの排気ガスを消化していく。そのうすばかげろうを砂場の幼女が記憶に残し胎児の記憶を曖昧にしていく。養殖され、養殖されていく幼女、どさりと汚い音は、スリーピースの黒いスーツを着た男のボストンバック。幼女にミルクチョコレートをその白き掌に強引に握らせる。男は上から融けていき、やがて幼女の薔薇色の頬にぽつりぽつりと黒い青緑の滴りを残す。空は真夏日と認識させるにふさわしく、怒っている。


黒髪のフェロモン。男は女の豊満な肉体に申し訳程度につけられている赤い布を獰猛な獣染みた目つきをしながら、しかしそれでも本能を制御しながら、たどたどしい拙い手つきで崩していく。時
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