妊婦のロボ子さん/木屋 亞万
どもが
ロボ子さんに次々と恋し始めた
男どもの青い春の散る時期が
想像していたよりも早く来て
花曇りの男どもの中で
彼女だけが浮き立つように
桜色の頬をしてやはり無表情
喜びを表現するように
お腹が膨らみ始めて
ロボ子さんが妊娠しているとわかった
子どもの父親は誰なのか
誰ひとり知る者はいない
彼女も誰にも言わなかった
ただ幸せそうな声で
私、この子を産むときに死んでしまうんですよ
と言った
ロボ子さんは陣痛のときに
苦しそうな顔をするのだろうか
ロボ子さんは赤ん坊を産んだ瞬間
どのような顔をするのだろう
彼女の笑った顔を見たい
顔色の悪い青年が
花の散るようにつぶやいた
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