輪郭/
木立 悟
暗がりに線の生きものがいて
音を切る円を描きながら
向かいあい 抱きあい
離れてゆく
陽の鱗が
じっとしている
割れてはそそぎ
鏡を反す
水音に挟まれ
径は揺らぐ
突き立つ虹
蛇の会話
地平の泡
夜の川の両岸を
蒼と影と偽が歩む
偽は見えない
偽はうたう
進むたび 振り返るたび
光と音は離れゆく
剥がれては落ち
剥がれては落ち
線の生きものに降りつもる
在るがままの日
水をなぞるひとつの指は
羽と羽 鏡と鏡の
わずかなはざまを描きつづけている
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