薄い摂理/m-rod
いつかはかすれていく
昔は良かったな
それは愉快な合言葉
今って素晴らしい、
そう 今日は日曜日
深夜 渋滞が過ぎた通りの隅
ラジオを付けて、僕は眠る
ウインドウを叩く指
偉そうな警官に 誘われて
車内を捜索
大きなはさみを見つけて
これは何だ?と聞く
その警官の後ろで
拳銃の引き金を引く仕草
ドン
口から小さな音がした
枝を切る道具より
拳銃をつけた人間が
危なくないって決まりが
どこにあると言うんだよ
家に帰って眠る
思いは跳弾 のちこめかみへ
今という甘いケーキを
丁寧に、平らげる
人は終わりの瞬間を
感じることに長けていない
子供はたった一年前を
懐かしいという
永遠を謳った歌さえ
興味を無くして眠っていく
全ては
千切りの野菜より短くて
野菜の嫌いな子供は育ち
明日のケーキを作るため
身体を振って粉をすく
捨てていく作業のことを
人は、「ふるい」と呼んでいる
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