融解/
笹子ゆら
平面的な世界で
とりとめもない海に落ちて
塩酸の刺激を浴びて
それでもいいとおもった
あなたの右の瞳に残っているはずの
硝子のかけらが今も痛いので
海岸線に伸びるガードレールに供えたあの
しろい花の純粋さは
失はれることもないまま、きっといる
思い出さないようにしていたのに
その指先/首筋/口唇/睫毛、だとか
今でも入り込んでくる
忘れそうなあなたの視線、だとか
いつかは溶けていってくれるのだろうか
誰も狂わないだなんて、言い切れるはずがないのに
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