バッグの意味/吉田ぐんじょう
てきたし
人形が詰め込まれていたときもありました
油断もすきもないのです
わたしの意思ではありません
今日もバッグを持っています
路上にしゃがみこんで開けてみました
すると切符ばかりがばさばさと
何百枚も何千枚も
路上を埋め尽くす程に出てきました
一枚一枚確認すると
乗った場所はばらばらですが
いつも一区間分しか買っていません
端の方には駅員さんが
鋏を入れた跡さえあります
切符はわたしの誕生日
昭和五十八年十月六日から始まり
本日平成二十年七月二十五日まで
一日一枚 計九千百二十五枚ございました
すべての切符を出しつくすと
あとに残ったのは百円硬貨五
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