水の中は/北斗七星
 






ひとつの温度に
肌全部が包まれる


水の中は
ひとときだけ僕の存在を許し


水の中は
ひとときだけ解放を許し




ひとつの重力に
肌全部が包まれる


昨日の夜と今日の夜
水面の境は二つの夜を
水面の境は二つの世界に
仕切りを立てて
二つの風が吹いている


列車の窓から見える海は
日常の風を浴び
ゴトン ゴトンと揺れて映る


仕切りの先に広がる
かけ離れた空間に意識が
囁きかけて光って見える




見上げると今日の夜と明日の夜の水面が波に揺れている


ひとつの夜に
肌全部が包ま
[次のページ]
戻る   Point(2)