Co/ねなぎ
 
思い出す海は
目が痛いほどの色だった
いつもその色を
ただ見つめていた
何もなかった
それが嫌で
夢を見たまま
家を出た
何を描いて
いたのだろうか
ここは全てが
固定され
冷たい塊が
広がっているだけ
ため息なら
くみきれず
暮らしは
もう動かない
日々の長さ
眠れぬ時間
何処までも流れ
生きる事に
追われる
ここには何も無い
描くべき事など
何も無い
全てが灰色で
塗り潰された生活
今でも
まだ描けない
一気にあおったら
どうなるだろう
悔しいくらい
そう思った
この狭い部屋の中
明日を夢見る
事もなく
独り
目の前には
捨てられずに
残った
溶液

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