夕病み/楠木菊花
 
終わりが始まりを招くの
君の傍らにいないことが
淋しくないと思えるようになったから
この場所からはもう何もはじまらない

死んだ空間に蹲る
君の歪んでいくさま
あたしの崩れていくさま

痛みを忘れたときに向う場所ってどこ
悲しみを忘れてから向う場所ってどこ

あたし君のこと好きだよ
(少なくとも)君を殺すより先に
あたしが死んでみせたくらいに

はじまりが終わりを招くの
終わりを恐れるようになって
はじまることがなくなった生活
だからここからはもう何も死なないの

生きた時間で意識する
あたしの創り出すさまと
君の失っていくさま

痛みを忘れたときに向う場所ってどこ
悲しみを忘れてから向う場所ってどこ

あたし君のこと好きだよ
(少なくとも)君を殺すより先に
あたしが死んでみせたくらいに
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