神話 四/はらだよしひろ
 
何も知りません
呟きかけた息が
黙ってしまいます

言えない言葉が溢れて
濁った言葉を清めます

憎んではいません
笑い声は高らかに
風という生き方になります

命はいつでも
心になります

皆さん
私は人間だと言う事を
忘れてはいませんか?

白い
透き通ったもの

存在しているのに
私は存在さえしていません

どくんどくん
私は生きています

愛されていました
愛することも知っています

でも 心は使い捨て
心を持てば
私の心が私を消します

住み往く処の日差しから
私は私を覆います

何も知らなかったから
流した涙です

隅々に追いやっては
取り出す匂いも
手に掴むことはできません

声は笑いを拡げます


と それは今の話です

だって笑ったら逃げるんです
人と私の距離が

そして逃げれば逃げるほど
見えてしまうのです
壊れた幸せの向こうの
桃源郷が

声が小さく欠伸をします
見えない影が
私を見ます

そこには湧き水が
湧き出ていました

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