「夜顔」/白い羽根
 
かせるよ

貴方の言う言葉は
蜘蛛の巣のように私を縛る
貴方は何食わぬように捕まえる蝶を食べる
私はそれを眺めるだけ
朝になれば糸は解(ほど)かれる

  今夜も蝶が掛かるよ
  貴方の手に掛かるよ
  美しい羽根が縛られてしまうよ
  飛べなくなってしまうよ

次の日に見たのは満ちる月
見上げるたびに丸くなってもう満月
いろんな建物から生まれては吸い込まれて消える
果ても何もない世界で終わりを探している
葉が枯れ始めても心配いらない

  毎年のことだから
  こんなのすぐに再生していく
  それより噂を聞いた
  この土地のこと
  もう空き地じゃなくなる
  そしたらここにはいられないね

プランターなんかに入りたくない
誰かに育てられたくなんかない
勝手に生えて勝手に枯れたい
そんなふうに強がった夜もあったよ

  夜顔の顔は見ないで
  触れて感じてそこにあることを
  一瞬誰かに似てると想ってもすぐに忘れて
  華違いだから
  きっとそうだから
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