虹製造機/m-rod
ひとりで食べる朝食が
どこかさびしく感じた
それはちょっと前に見た夢の中に
君が
居たからなのかもしれない
溶けかけたコンクリートの階段を
少しずつ上るその姿は
最終的に
そう 終わろうとするために
装置の蛇口を
力いっぱいひねったんだ
大きな噴水の傍で
小さな君は笑う
吹き上げられた水しぶきに
陽炎さえ溶かしながら
隠れて涼んでいる
俺を指差しながら
「近づいて」
君は 水色の声で言った
昼前になって
ようやく 我に返った
あれは昔のことなんだ
君が
居てくれたときのことなんだ
生まれたばかりの赤いランプは
やがて青い色に変
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