おじいちゃんとパンダ夜話/結城 森士
 
爺「あの時は嬉しかったな。あの時わしは決心したんじゃ」
俺「何を?」
爺「一生をかけてパンダを守ると。そしてすぐに」
俺「すぐに?」
爺「魚屋に転職した」
俺「決心はどうなったんだよ…!」
爺「人の心は移ろいやすいものじゃよ」
俺「意味分からないよ!」
爺「パンダはわしが一生をかけて守る!わしの目の周りが黒いうちはな!」
俺「塗ってたのかよ!」
爺「たれパンダ」
俺「かわいくねーよ!」
爺「気にするな、全部嘘じゃから」
俺「もういいよ!!早く帰れよ!」

すると、おじいちゃんは寂しそうに窓の外を見た

爺「わしはな…。わしは、一人暮らしをしているお前に、どうしても…」
俺「お、おじいちゃん…」
爺「パンダが好きか聞きたかったんじゃ」
俺「帰れ」
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