せいいっぱい のびる/吉原 麻
からっ と あけた空 をみあげて
せんたくきから取り出した バスタオル をひろげると
ふわっ と 水 のかおりが 舞う
少し広いベランダは ひとり では もてあましてしまう
ので せんたくもので いっぱい にするんだ
窮屈にしたベランダで君の文庫本を 読もう とするけれど
ちっとも あたま に入ってこない
こころ が いっぱい になるんだ
夕方の むらさき と オレンジ の混ざった雲がみえると
すこし ほっ とする
君の シャツ をゆっくり とりこみながら
いい いちにち だったのかな なんて思う
あしたもきっと
空は からっ としてるんだ
戻る 編 削 Point(6)