「林檎」/ベンジャミン
不器用であることは
罪ではありません
林檎の皮をどれだけ長くむけるだろうかと
無邪気にはしゃいでいた頃に
途切れてしまった命はいくつ
あの赤い肌をすべっていったことでしょう
もしもあなたが
その赤い線のような林檎の皮に
儚さを感じる心を持っているのなら
いっそわたしは
赤い耳のウサギのかたちにして
あなたが美味しそうに食べるのを
嬉しそうに眺めていたい
だって ほら
この いろ
この かたち
まるで しんぞうみたいでしょ?
わたしけっこう器用なのよ
だって赤い耳のウサギつくれるもの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)