降り来る言葉 XXXVII/木立 悟
たない牙を持ち
あらゆるものを殺めてきた
わずかなこがねも
わずかなねがいも
おまえのすべてを知る指が
おまえのなかでじっとしている
おまえは動く
指は飛び去る
いかずちが刻まれ
いかずちが刻まれ
おまえの指はもう二本しかない
それでも生を追うには多すぎる
しあわせ以上のものを知らず
夜と水は背き合う
消えかけてなおまばゆい横顔
互いのままに離れながら
にじむ光のにじみの理由が
こめかみから目へ流れてゆく
流れは片方だけを洗う
流れは羽になってゆく
凸は無く光には凹があり
粒の明るさにはじかれている
まなざし 行方 浪に空に
肌の上の声 かすかに応え
手のひらの夜 包まれる
手のひらの水 咲きひらく
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