目覚し時計/nonya
臭い男がやって来ました
あなたの笑顔はとろけて玄関まで流れ出し
あなたの清涼な香りはみるみる腐敗していきました
食事もそこそこにふたつの影は重なったのでした
長針を振るわせながら
私は耐えたのです
午後11時41分 正確なところは勘弁してください
あの男はこそこそと帰っていきました
帰りがけに捕らえられた狐のような目つきで
しきりと私を気にしていましたっけ
たぶん心は別な闇に飛んでいたのでしょうね
あなたの寝息を聞きながら
私はチクタク泣きました
もしかしたらあの男はあなたに相応しくないのです
たぶんあの男はあなたを騙しているのです
きっとあの男はあな
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