目覚し時計/nonya
いっそのこと
壊れてやろうかと思ったのです
午前8時20分 正確には午前8時19分49秒
あなたは怖いものでも見るような目つきで
私を見ると言葉でない何かを叫びました
それから物凄い勢いで身支度を整え
部屋を飛び出していったのでした
もちろん
これは故意なのです
午前7時30分 正確には午前7時30分21秒
どうしても鳴りたくなかった私は
製造されて以来はじめて命令に背き
あなたの美しい寝顔に見惚れていました
私は時間にあるまじき時間でした
それというのも
昨夜のことなのです
午後8時06分 正確には思い出したくもありません
またあの生臭い
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