ひとり歩き/伯井まなと
「嘘だよね」すべて投げ出し午睡をしよう
雨声を訳してくれる人とならずっと一緒にいてもいいのに
アスファルトにぶちまけられたかき氷がダイヤモンドになったらいいね
日を浴びてかもめは死んだ。「泣かないで。松葉も濡れて瞬いている」
「太陽は知らないことさ」知らなくていいことだのにぼくは知りたい
「つま先がシクシクするよ」手を繋ぎ落ちる夕日をずっと見ていた
積雲のような恋ならこのままでいさせてほしい 子どものままで
もし君の一番星になれないのならぼくに微笑み向けてくれるな
「怒ってよ。怒ってよ。ねえ、怒ってよ!」「やだよ。いやだよ。絶対にやだ!」
「潮時だ」なんて水平線を見てかすれた声で言わないでよね
行かないでひとりはいやだ行かないで 泣きたいときになみだも来ない
傷口は開いたばかりまた「ここ」が「ここ」が痛むよ 摘み草をする
海沿いのひとり歩きを始めた日から思い出せないくらい歩いた
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