夏/
榊 慧
合いの化粧水、透明。
路地裏に住んでいる、今日も。
くぐもる。触れたのは背骨。
思春期未満のロマンティカブルー(な夜)。
ここにはこなかったよ、春。
置いていかれた。
濡れている黒髪から匂う、火薬。
マテリアリズム。亜砒酸、溶ける。
軽さから卒す。
小指からの侵食範囲。
余薫アルコール、金属音と破片。
五十年前の海、
非行少女の、夏の峠。
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