つづしり歌/天野茂典
ひとりで唄って
秋桜
つらなる
惑星のなかで
孤立する意識よ
ぼくがあまりにも意識的なので
死は土星のように
都会的な愛を失っている
周縁がみえないラインをひき
ぼくはけっして死んだりしない
いまぼくはオブジェについて
語っているのでは
ない ぼくは ぼくの
全てについて 失ってしまった
書籍のダイオキシンについて語っているのだ
「新ドイツ零年」
ジャン・リュック・ゴダール
言葉と速度
引用と暴力
だが 神について
語ったりはしない
闇(詩)が
余りにも映りすぎているので
いつも時代は少し遅れてみえる
この秋風のなかで
焼かれてゆく 銀杏
ローストされてゆく 珈琲
もはや盲目的なまでの
信憑性をもって
ぼくは きみに
カーテンをひらこうと思うのだ
新しい風景を呼びよせるために
デビット・ホックニーよ!
新しい性欲の季節がひらくまで。
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