シンナーかけられた思い出がひとつ/青木龍一郎
 
いてあって、僕は泣き出してしまった。


僕らの物語は何者かに書き換えられてしまうのかもしれない。
美しい思いでも、薄汚い思い出も、でっかく「LOVE」と描かれてハイ、オシマイか。
僕らはいつからLOVEの中に武器を持って突入するようになってしまったのか。
手ぶらで外を歩けるようになったら、そのときは、僕はこの世への愛の歌を大声で撒き散らす。
思い出が何処かでゆらゆらしてる。



中学生のときの合唱コンクールを、撮影したビデオがあってね。
そこにはとても可愛らしい加賀さんって女の子が映ってるんだけど
画像が荒くて、可愛いかどうか、よく分からないのだ。
だからせめて声が
[次のページ]
戻る   Point(6)