向日葵/松本 卓也
 
姿を
なぜか鮮明に思い出していた

ただ生きていくだけのため
懸命に太陽を追いかけて
やがて力尽きる日までと
言い聞かせていた気がする

だけど今零れるため息に
何一つも未来などありやしない
ただ草臥れて萎れ首を垂らし
歯を食いしばり足掻くだけの日々

汗を流し歩くアスファルトの先に
向日葵など咲いていやしないのに

吸い終えたタバコを灰皿に放り
鞄を抱えようと伸ばした指の先に
細長い種が一つ落ちていた

家に帰ったら庭先に植えてみよう
財布の中にしまいこんだのは
なぜかしらとても大切な何かを
思い出せそうな気がしたからで
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