電気冷蔵庫 (昭和の時代−戦後)/青い風
電気冷蔵庫が普及し始めた頃
僕たちの生活はひもじさと同居していた
だから 冷蔵庫の中には
いつ見ても細長いノンスメル(脱臭剤)の箱と
小鉢に入った沢庵だけが入っていた
おっと忘れてはいけない もう一つ
銀色の製氷皿に入った氷があった
僕たちは学校から帰ると
この冷蔵庫を
バッタンバッタンと開け閉めするのを
毎日の日課とした
そして ノンスメルと沢庵を確認した後
決まって白くにごってへんな臭いのする
氷をガリガリとかじったものだった
空っぽの電気冷蔵庫はどこの家に行っても
台所にデンと大きな顔をしてすわり
時々低い声で唸っていたものだった
空っ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)