電気冷蔵庫 (昭和の時代−戦後)/青い風
 
電気冷蔵庫が普及し始めた頃
僕たちの生活はひもじさと同居していた
だから 冷蔵庫の中には
いつ見ても細長いノンスメル(脱臭剤)の箱と
小鉢に入った沢庵だけが入っていた
おっと忘れてはいけない もう一つ
銀色の製氷皿に入った氷があった

僕たちは学校から帰ると
この冷蔵庫を
バッタンバッタンと開け閉めするのを
毎日の日課とした
そして ノンスメルと沢庵を確認した後
決まって白くにごってへんな臭いのする
氷をガリガリとかじったものだった

 空っぽの電気冷蔵庫はどこの家に行っても
 台所にデンと大きな顔をしてすわり
 時々低い声で唸っていたものだった


空っ
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