気の迷い/佐々木妖精
遠くそびえ立つビル群
人間が高さを競うように
草木は深さを競い合い
私の横たわるこの下で
取っ組み合いの陣取り合戦を繰り広げている
負けるのも勝つのも好きではないと
酒のない酔いに飲まれ
差し伸べた手は空振りして
リードだけを引きずり
黒い犬は走り去る
星のない夜なら
風が芝生を吹き抜けていったとしか思わなかっただろう
彼はどこへ行くのか
進路にもつながる地面に横たわり
目的性を麻痺させ
ぼんやり 裸眼でいる
にじんだ星が一つ、もう一つと手をつないでいく
近眼と乱視が手を結んだ私のために
彼等は手を取り合い
夜が明けるころには
太陽になっている
何
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