波と黒の犬/
たりぽん(大理 奔)
太陽だけが焼く砂丘に
裸足で踏みいる
私という存在に影は現れたが
大きな耳の黒い犬が居た海の家は
まだない
深雪に分け入るようだ
試みの生はなく
試みの死もないので
もう会うことはなく
鏡が透明でいられるとしたら
とうめいなものをうつすとき
青空を盗んだら鳥は森へ帰る
映らないものを探しに行く
足跡は残るだろうか
僕の歩く波打ち際に
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