白キャンディ/
よつやとうじ
キャンディの蒸発が
存在の危うさに
交わる午後
街は熱中症の糸を
器用に手繰り寄せて
痛覚に群れた
羽蟻を潰す
高気圧が
螺旋する堤防には
焼ける鉄板の
匂いが見える
とまらない
不実さが
寄生する
足取りには
ゴムの蝶が
まとわりついて
個体など
夢を見ている間に
黒い被写体に
なってしまえばいい
弛まぬものなど
何ひとつ嫌になるけれど
それでも
行くんだ
呼吸を止めて
廃線跡の無風地帯へ
ピクニックに
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