海辺/
木立 悟
ないからだのはざまを
なぜそんなにも満たしているのか
水や音や過去や震え
それら粉の多い夜の
冷たさばかりを肌に残して
息は狂おしく緑を分ける
既にそこには無い鳥や波
飛び立つと同時に消える影
あたかもあなたに似ているようで
なにもかもあなたには似ていない
あなたは砂を統べる砂
常に生ある砂なのだから
小さな器を逆さにすると
小さな滴がこぼれ落ちる
すべての波のはじまりのように
色と痛みは打ち寄せる
そのままのあなたに打ち寄せる
戻る
編
削
Point
(11)