海辺/木立 悟
だらしない服が
花のように香る
からだの線が
浮かんでは消える
あなたは
無言にたなびく
降る曇
くちびる
とじたまなこ
うしろあたま
ひとつかがやく
岩のなかの声が溶け出し
己ればかりが流れてゆく
蒼が来て 蒼が来る
夜になり 夜になる
湧き水が
近づいては遠去かる
器をのぞきこみ
他の湧き水のまわりをまわる
影が集まるところ
音もまた集まる
水が向かうところ
水が向かうところへ
たどりつくたましい
あなたの服ではないのに
なぜそんなにもなじんでいるのか
凛とした無表情と
あどけない
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