(単純な)世界/落とし子
 
内緒だけどと誰かが言って、
もういいよ
聞きたくないんだ、
そう思うほどに耳には残る、
そんなもんです。

本当はもっと単純にいきたい、
単純であるべきだよ、
酔った勢いで口走ってみたら、
「怠惰なだけでしょう、幾つなんですか」
なんて軽く返されて、
(軽いけれど本質的な言葉)
あるはずのタバコはもうなかった。
そんなもんだろうか。

JRの下りはまだ動いていたが
乗る気にもなれず
もっと無意味な事をやる勇気も無く
まあ平凡に、ちょっと歩いて
帰ってみようかって事に。

結局のところ、
単純にはいかないんじゃない、何事も。
「わかってるって、不可能だから燃えるんだろうが」
そう言いながらも僕は、
心の底ではずっと
単純な世界の存在を信じていた。
そんなもんだよ。


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