七夕/因子
今朝方まで降り続いた雨で
赤い実、おちた
何とはなしにいつものパターン
硬い靴底で踏み潰す
だけどそれは、赤い実じゃなくてふにゃふにゃのみみずだ
ずるりと這う怠惰は音も立てず×××
固体なのか液体なのかもうわからない
いつも死んでしまってから
死んでしまえと思うんだ
全部終わってしまってから
終わってしまえと思うんだ
終わってしまったものはもう二度と終われない
だから私はいつまでも終われないんだと思います
(進むことが正義)
(見分けることが正義)
(終わり続けることが正義)
まったくどうしようもない奴だ
多くを望んで御免なさいだけど私どうしても五十歳までは生きたい
みみずを踏み潰して そうしたら私の寿命はどうにかなるかしら
あの子を踏み潰して そうして私の往く道はいくらか広がるかしら
「赤い実 お ち た」
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