コインロッカー/モリマサ公
 
ボディーで今を通過する
泥の田んぼや朱色のひかりのトンネル
汗ばんだビル達の隙間
ゆっくりと輪郭を重ねながら
記憶のなかの観覧車のてっぺんで
ひんやりとなつかしく扉が開く
なまなましい魂がいりまじり
そしてもういちど
つきあたりで太陽を背の方向に曲がる
出口はどこ?
窓なんてどこにもなかった
説明を失いながら
名前を無くしたそれぞれの足首がモーレツな勢いで交錯し
様々な角度からきしんだ空耳が流れ
スクランブル交差点が点滅する
街路樹の葉っぱに混じってキーが揺れている
動いているものは美しい
無灯火のパトカー
思い出せない静かな音
泣いている
浮かび上がる風船が文字を飛ばしていく
やめないで
井戸のように覗き込む

「ここは どこ?」






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