【路傍の銃声】/檻野楴人
血まみれになった走馬灯を
思い返すたび、思い過すたび
自分に関する一切の揺らぎが
炎上し、延焼し
覚醒の中で
ただ酩酊だけを手にする
飾らない思想が
相克する、相続する
共感覚が戦場を引きずり出し
エンパスがなお加速度を増して
俺は意識のカラビナで
運命を矯める
死の両端を
棺桶で、包んで
銃弾の幾何学が
生命線を描いて
戦場の裁判官は
存在を、断罪し
赤いプールを泳ぐ
クロアの銘々を
一人一人嗤いながら沈める
貴様が連れて来た
戦場を連れて来た
雑踏の人々の隙間に
書き消された記憶が
銃口の先を
俺に向けている
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