潮騒が撃つ/Rin.
 
ている
潮騒は息をする
シュハリ シュハリ
勝手にしてくれればいいが
肋骨の中は空洞なのでなんとなくもどかしい

始発は夏に向かっている。
乗客は足し算と引き算を繰り返していたが
それにももう飽きたようで、またふたりに戻った。
彼はありふれた朝に戸惑うこの存在を知らない。
潮騒が、また―――ああ、肋骨の中に
あふれた海が満ちる気がした。
私はここに、また生まれるのだろうか。


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