月夜と闇夜/プル式
月は満ち夜が来て
花の傍に居たはずの何かは
綺麗に溶けて夜に闇をたしました
いくら伸ばしても届かない何かに
綺麗に溶けてしまった闇に
それでも腕を揺らしながら考えます
闇の中に自分がいるのでしょうか
自分の中に闇がいるのでしょうか
花にには判りません
花は全てを飲み込もうとしました
しかし闇夜は大きく飲み込めません
花は全てに飲み込まれ様としました
しかし花は硬く闇夜には溶けきれませんでした
次の日
いつもの様に朝が来ました
花は枯れ木になっていました
枯れ木には昼の陽射しは強く
次第にくすぶり始めると
ついに真黒な炭になりました
その夜
枯れ木は少しずつ夜風に掠われると
すっかり闇に溶けてしまいました。
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