思い出せる/
チアーヌ
もう忘れてしまったから
思い出せる
縦に細長い
三角屋根の家は
白い壁に
木の階段
小さな抽象画が
三つ
上って行くと
グランドピアノと
背の高い譜面台
バルコニーには
テーブルと椅子
風が吹いていた
さらさらと
音がした
恋だったのか
わからないけれど
胸が詰まった
もう二度と訪れないと
知っていたから
わたしの場所
なのに
もう覚えていないから
思い出せる
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