お歌と母と赤い痕/そらの とこ
 
泣いていいのよ
とお歌が言うから
泣きました

母はお止しとお尻を
パチン
とぶちました
泣きたかったけど
母の手が痛かったので
私は
自分の部屋へ駆け込む間もなく
口元を
ぎぃり
とつねりました
 (母に気付かれないように)
ぎぃり ぎぃり
口元を過ぎて
頬へ
首へ
 (静かに 静かに)
最後は決まって
母を目でつねります
ぎぃり
ぎぃり
気付かず
笑う
母の首筋は
全くの
他人のようでした
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