スナビキソウ/
AB(なかほど)
あの子は
気分のいいときも
泣きたいときも
海を見に行った
ブレーキの利かない自転車を
力いっぱいこいで
砂をかんでぱたりと倒れた
のは初夏
そこに
咲いた花が
そこに
咲いている花が
海を見ているとか
風を待っているとか
うそぶく前に
生きている
そのことだけを
そのこと
だけを
感じて
ぱたり
と倒れた
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