視線浴びたい/江奈
 
「ごめん待った」

ばかみたいに 震 える

あんたは待ちくたびれた、と怠そうに助手席に乗り込み買ってきたコーヒーへ当たり前に手をかける。口を開くと今までの知っているあんたからは想像もつかない現実ではないような話を始めた。辻褄の合わない女の話、寝る間も惜しんで働いて貯金を始めたんだと財布に札束をちらつかせて目を爛々とさせている。あたしは金とか、気を引くためなのかどうかも分からない女の話なんてどうでも良くて、テキトーに相打ちを打つ。今だけはあんたを独り占め出来るから。体ごと締め付けられるような想いをただ今夜触れるかどうかも分からない今じゃない未来に賭ける。頭の中で、しょーもない駆け引きをする準備を描いていた。本能でしか物事を考えれない飢えた肉食獣みたいに


目線はまだ合っていない。
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